impracticable theory 机上の空論

ポータブルオーディオ 主にカスタムイヤーモニター

そして再び消える魔球

このレビューは製品レビューではありません。
タイトルを見てわかる人もいるかと思いますが、サービス化されるか不明な段階でのレビューです。
記載に際して須山さん本人に許可はもらっていますが、正式発表があるまでFitEarに問い合わせても回答はないと思われます。
もしかすると無かったことになるかもしれませんので、夢をみた程度の感覚で読んで頂ければ…



じつはたびたび手を加えられているFitEar Monet (萌音)ですが、かなり大きな変更があったのでレビューしてみます。
正式メニューになるのかならないのか、そのあたりはまだ不明であくまでベータテストの報告という程度なのであまり期待なさらず…


f:id:impracticable_theory:20130917114250j:plain
f:id:impracticable_theory:20130917114324j:plain
シェルが濁って見えるのはフィルターをかけちゃったからですね

見た目はヘリクス部に大きなナニカが追加されています。小型のBAドライバーくらいのサイズはありそうです。それ以外の変化は特になさそうに見えます。
この大きなナニカ、須山さん曰わく昆布巻きらしいですが、これの効果か凄まじい変化がありました。実にいい味出してます。


萌音というと以前のレビューで酷評したように、非常に強いローと隠れがちで繊細なハイ、少し引いたミッドとなかなか難しいバランスでした。
自分でもレビューは甘口派だと思っていますが、それでも汎用性を考えると褒めるのは難しい印象でしたね。
以前書いたレビュー以後、高音に調整が入ったり自分で音響抵抗を変更したりとだいぶフラットよりになり、好みに相当近づいたのですがまだ汎用性に欠ける(また、ボーカル主体のアニソン向きであるとは言えない)という全体の傾向は変わりませんでした。


今回のバージョンアップ後はローからミッドにかけてかなり大きな変化があります。
まず目に付く点として、低音の量が減っているため、相対的にボーカルレンジから高音が目立つようになっています。
以前は高い解像度とはいえ重たい印象の低音がベターっと空間を埋め尽くして、その中から他の音が聞こえるというような印象でしたが、バージョンアップ後はローの全体的な音圧が減り、まるでダイナミック型のような分離と立体感を備えるようになりました。
それでいてBA型の特徴である解像度は失わず、むしろ分離感が向上したためか一つ一つの音が聞き取りやすくなっています。
もともと(000ケーブルの効果も大きいですが)左右のセパレーションは優秀な機種でしたが、バージョンアップ後は左右の距離感や前後の音場をしっかり感じることが出来ます。
パーカッションの位置関係やコーラスの折り重なりがまるで目で見えるように感じられます。
弾力があり弾むような低音で、BA型では聴いたことがないイメージですね。

このあたりの印象がかなり変わっているので、アップグレードではなくバージョンアップと表記しています。
萌音の再調整版というより、333の系譜である334DWといった方が適切なんじゃないかと思うほどの変化です。
ケーブルの相性も変わり、001ケーブルとの相性はなかなかです。付属を000から変更したらちょい安くなるかも!?

以前のようなエッジが立ったキレキレの低音ではなくなっているので、現行萌音がすばらしく好みだ!という方には明らかに馴染まない音になっています。ぶっちゃけると自分は以前のキレッキレのサブローの方が好きだったりします。
そういう方はバージョンアップサービスとかが正式メニューになったとしても手を出さない方がよいと思います。


しかし、全体的にみると汎用性が相当向上しています。
低音が減ったためか、少し引いていたボーカルがくっきり前に出るようになってきました。
以前はアニソン専用機を謳っている割にはボーカル曲には弱く、古めのアニソンが合う程度だったのですが、バージョンアップ後は最近の音数の多いアニソンにも十分に対応出来ると思います。
ローからミッドにかけての分離感が素晴らしく高いため、ビッグバンド構成なんかもとても楽しいです。
反面、ゴリゴリな低音のサウンドは低音のエッジ感が減ったのでやや苦手になったかもしれません。
また、プレイヤーのボリュームが上げやすく、つまり感度が低くなっています。アンプを使用する際に扱いやすくなりましたね。


音響抵抗による調整も自分でいろいろ試してみましたが、個人的にはツインツィーターを限界まで活かすように高音用ドライバにはほとんど音響抵抗を設置しないセッティングがかなり好みです。もともと高音の歪みなさというか解像度は素晴らしいものがあり、超高音の音圧維持も他にはないレベルだったのですが、それを余すことなく感じる事が出来ます。
また重く眠かったギターなども鮮やかに聞こえてとても楽しくなりました。

好みはそれとして、一般的にはもう少し高音を押さえた方が良いかもしれません。
二つの高音ドライバーの両方に音響抵抗を設定すると結構低音よりになるので、音を詰めるには高音ドライバー側のネットワーク的な調整も追加で必要なのかもしれませんね。
このあたりの調整も含めて、トータルでどのような音をなるのか楽しみです。
正式メニューになるかどうかはまだわかりませんが、その際にはきっとさらに完成度を高めてくれるはずです。



はっきりいってこのバージョンアップ後はMHシリーズに比肩しうる性能があると思います。
MHシリーズのようにスピーカーで聴いているような音を出すわけではないですが、頭を中心に立体的な音場で解像度が高く、まさしくイヤーモニターと言うべき音を奏でます。
既存の萌音の延長線とは言えないですが、オリジナリティあふれ、汎用性も高いです。
というか、これを最初からリリースしていたらヒットしていたんじゃ…
もしくはアニソン専用機と言わず別製品で出せば二倍儲けられるチャンスですぜ、須山さん!

冗談はともかく、一年ほどの間に大きな成長をみせた萌音、そしてこれから出るであろうFitEarの新製品(?)はイヤーモニターとしてもう一段階上のクオリティに仕上がりそうで楽しみです。

Opera 15 is Not Opera

Opera 15がリリースされてました

http://www.opera.com/ja/computer

 

Webkitベースのあの子です。バージョンは12.15から15までジャンプしています。  

ブックマークがなくなり、スピードダイアルに統合されました。

気になるページを簡単にスタックするスタッシュ機能や、オススメニュースを自動的に集めてくれるディスカバー機能が新しく搭載されています。

 

Opera 15についてのユーザーの反応はTwitterを見るとわかりやすいと思います。

http://realtime.search.yahoo.co.jp/search?tt=c&ei=UTF-8&fr=sfp_as&aq=-1&oq=&p=opera&meta=vc%3D

 

もしあなたがChromeを使っていて、ブックマークも拡張機能もそれほど使っていないというのであれば、Opera 15に乗り換えることはそれほど難易度が高いものではありません。

ただ、旧来からのOperaユーザーにとってOpera 15への移行はとてもつらく我慢がならないものになるでしょう。

 

Operaにはインターネットに必要な全てが揃っていました。

最も長い歴史を持つ独自のレンダリングエンジンを使用したブラウザがありました。RSSリーダーやメーラーもあります。

快適にブラウジングを行うためにわざわざエクステンションを入れる必要はありませんでした。

マウスジェスチャーやショートカットのカスタマイズ、サイト毎にCSSJavaScriptを設定出来る柔軟さ、Tab-On-Topやスピードダイアル・タブスタックという独創性。ブックマークや設定の同期機能。

それら全てがOperaには内蔵されていました。

 

Opera 15ではそれらのほぼ全てが失われています。

一部については、今後取り戻す予定はないそうです。

 

確かにこれまでOperaはひどいものを正式版としてリリースしたことは(よく)ありました。

大手サイトが利用できない・日本語が利用できないことはよくありますし、起動すらままならない状態でリリースしたことすらあります。

それでもそれがユーザーが望んたOperaであることには違いありませんでした。

 

Opera 15がリリースされた時、これほどまでにユーザーに望まれないリリースはあったでしょうか。

そこにはOperaOperaであるべき機能も信念も見受けられません。

Opera 15はOpera 15であってOperaではないのです。

国内自作勢発のカスタムイヤーモニターメーカー 株式会社くみたてLab

このブログを見ているような方はすでにご存知だと思いますが、ブログリンクしている組立工作員さんが株式会社を起こし、正式にカスタムイヤーモニターメーカーとなったようです。


http://diy-ciem.blogspot.jp/ 


シェルの造形に関しては世界屈指だと思います。ぜひブログまで見に行ってください。
自作のための情報発信は今まで通り行うとのこと。
カスタムという特性上、商売にするにはサポートがとても大変なお仕事だと思いますが、応援していきたいと思います。

同じように日本発のメーカーが増えていくと嬉しいですね。
既存のFitEarやカナルワークスなどと相乗効果でよい商品が出てくるのではないかと期待しています。

ブロガーイベント (HA-SZ1000 / HA-SZ2000) レビュー・レポート

f:id:impracticable_theory:20130424200427j:plain

先日案内だけ書いたITmedia LifeStyle様主催のブロガーイベントの詳細です。

ブロガーイベントがあるということでとりあえず申し込んでみたんですが、実際は当日になるまでイベントの内容は知りませんでした。
1年前にリリースされたHA-FXZ200/FXZ100が関係しているんだろうな、という程度の前知識で申し込みしていました。
当日になって、同日(2013/04/24)JVCケンウッドより発表された新製品のヘッドホン、HA-SZ1000/2000を試聴する機会があると知った次第です。
このブロガーイベントを除くと、一般用の試聴は春のヘッドホン祭が最初になるようです。

全体的な流れとしては

  1. 新製品の案内
  2. 開発者によるお話
  3. 試聴タイム
  4. ゲストのお話
  5. 試聴タイム
  6. プレゼントタイム

という感じだったと思います。

ヘッドホンのスペックや構造等についてはITmediaさんの記事を見て頂いた方がいいかなと思います。

今度はケルトン方式にダブルバスレフ:JVCケンウッド、スピーカーの技術で音を追求したヘッドフォン「HA-SZ2000/SZ1000」

超低音のみを担当するドライバと中高音用のドライバを搭載したマルティウェイシステムですが、電気的なネットワークは使用せずに音響的なアプローチのみで調整したとのこと。
基本となる理論はHA-FXZシリーズと同様にケルトン方式。細い音導管で低音のみを取り出すアプローチです。今回はヘッドホンで大きな容量の空気を動かすためにダブルバスレフを採用したそうです。
このような音導管を使用したアプローチは、カスタムイヤーモニターではUE18ProやHeir 8.Aで細い音導管をローパスとして、FitEarのTO GO!シリーズではテーパー状の太めの音導管を高音を伸ばすために使用されていたりしますね。
ドライバ以上に設計者の腕が問われる部分ですが、JVCケンウッドはその点で一日の長があるように感じます。
ドライバを複数搭載したヘッドホンは今までに何点か発売されていましたが、いずれにしてもゲテモノというか個性的なものが多かったんですが、このHA-SZ1000/2000はとても素直なバランスで、非常によく考えられているなと感じました。
HA-FXZシリーズであったような挑戦的である意味変態といえるような音ではなく、しっかりとした超低音がありつつもバランスのとれたオーディオ的な音です。



* 音としては

SZ2000の方のざっくりとした感想です。
300Hz以下の超低音がグッと持ち上がっていますが、それ以外は特に強いピークはなくバランスは良好です。
超低音も圧迫感を感じるようなものではなく、深く広がるような独特の音場です。全体的に音場は広めですが、特に低音の広がりは面白いですね。
反面、カナル型イヤホンにあるような密度感のある低音ではないので、そういう音が好きな人にはあまり合わないでしょう。
超低音だけが持ち上がるバランスはほかのヘッドホンでは聴いたことがない音で、非常に特徴的。ただ、鳴らすのが難しい音域なのでそれなりのアンプを使用しないとぼやけた印象になりそうです。(ちなみに開発者の三浦氏はiPod+iQubeを使用されていました)
ボーカルの高いところにピークがあるようで、ちょっと気になりました。
先述の三浦氏に直接確認してみたのですが、低音を除き特にピークやディップを意図して作っている訳ではなく、聴覚上のフラットを目指しているとのこと。
(9KHzあたりにピークがあるとはおっしゃっていました)
このピークもプレーヤーやアンプを替えると気にならない機種もありました。エージングもそれほどしていないということで、聴き進めるうちに気にならなくなるかもしれません。
歯擦音は少なく、高音もピークは無いようで聞きやすい感じですね。HA-FXZシリーズをイメージしていると拍子抜けするほど素直な音でした。

SZ1000はしっかり聴く時間がとれなかったのですが、低音全域が分厚くなってより元気のいい音でした。



* 形状等

ハウジングはかなり大きく、平均的なヘッドホンの1.5倍から2倍くらいあります。重さも同様にかなり重くなっています。
鳴らしていると音漏れも大きく、外で使うものではないとの印象を受けました。ケーブルも太いのでなおさらです。
家で使うにも、ゲストの潮氏が指摘していたようにケーブルが短く取り回しがよくないのでいまいち感がぬぐえません。
一番よいと思えるのは、やはりPCでの映画鑑賞ではないかなと。しっかりとした低音は映画鑑賞に最適だと、ほかの何人かの参加者も感じていたようでした。

ハウジング内をばらしたものも展示されていました。

f:id:impracticable_theory:20130424210022j:plain

低音用のドライバ

f:id:impracticable_theory:20130424210042j:plain

f:id:impracticable_theory:20130424210040j:plain

高音用のドライバ
ドライバの周囲に2本、低音用の音導管が配置されています。

f:id:impracticable_theory:20130424210131j:plain

f:id:impracticable_theory:20130424210129j:plain

ハウジングの背面、リングに隠れるように穴が二つ空いており、そこで低音ドライバの背圧をコントロールしています。
ダイナミック型なんで背圧を制御出来ないと動かないですもんね。

f:id:impracticable_theory:20130424212231j:plain

f:id:impracticable_theory:20130424212237j:plain



* イベントとして

いわゆるヘッドホンのマニアックな人は意外と少なかったです。
試聴が15分×2ととても短いのはよろしくないですね。ヘッドホンが2つなので1本あたり15分。店頭試聴でももうちょっと長くとれる店もあるのに残念でした。
音についてブロガー同士でセッションする時間があればおもしろいんじゃないかと思いましたが、収集がつかなくもなりそうです。。。
話者用のスピーカーの前の席だったのですが、たびたびハウリングを起こしていて耳が痛かったです…
開発者から直接話をきけたことはとてもよかったです。こういう場は個人で用意することは難しいのでとてもよい経験になりました。

個人的に、このライブビートシステムの特徴である、アコースティックレイヤーでのマルチウェイはとても興味ある分野なので参加出来てよかったです。
このようなブロガーイベント、今後も参加して行きたいですね。

ITmedia LifeStyle様主催のブロガーイベントに参加してきました

当日(2013/04/24)にJVCケンウッドより発表された新製品のヘッドホン、HA-SZ1000/2000を試聴することができました。

カスタムイヤーモニターを綺麗に撮影するにはどうしたらいいんでしょうか

とりあえず、後ろから透過するような光の当て方がポイントのようですが、よくわからないです。

最近はiPhoneのカメラとフィルタで誤魔化す事が多くなってきました。
以下は、iPhone5の標準カメラのHDRで撮影したものをEyeEmというアプリでフィルタをかけたものです。



f:id:impracticable_theory:20130125000114j:plain



  • Heir 8.A (1964 Ears ReMold)
f:id:impracticable_theory:20130125000202j:plain

須山カスタムはシェル内を充填しているので、他のメーカーとはちょっと癖が違いそうです。
難しい…


新しいカメラが欲しくなります

手持ちのカスタムイヤーモニターを試聴させたい場合はゼンハイザーのダブルモールドイヤーチップ!

自分の耳にぴったり合っているだけに、他人に試聴させるのはとても難しいですね。
たまに合う人もいますが、ポートの向きか合わなくてちゃんとした音を聴けなかったりします。

そんな時にはゼンハイザーのダブルモールドタイプのイヤーチップが最適!
f:id:impracticable_theory:20130112102616j:plain
他のイヤーチップと比べて素材の伸びかいいので、カスタムイヤーモニターのカナル部にフィットしてくれます。
これは布教にはマストアイテム!
お店で見かけた時はぜひ確保してみてください。