impracticable theory 机上の空論

ポータブルオーディオ 主にカスタムイヤーモニター

須山補聴器 FitEar MyRoom 111L

手軽に使えるカスタムイヤーモニターはないもんかと考えていた時に出会った須山111L


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シングルドライバで,購入当時はケーブルは固定でリケーブルするにはシェルを割らなければならない仕様でした。
現在は他の須山カスタムと同様にコネクタタイプでリケーブルしやすくなっているようです。
シェルもフルカナルになっているようでドライバ以外はほとんど別物ですね。


ドライバは縦方向に長いですね。
それによって低音を稼いでるようです。

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ドライバの比較として111シリコンモールドを。。
ER-4Sのドライバと同等品ですね
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111シリコンモールドはいわゆるワンオフもので現在須山さんでは取り扱いがありません。
是非とも製品化してほしいんだけどなぁ…



閑話休題

まずはシェルについて


普通のカスタムとは異なりヘリクスを含みません。
カナルのみでシェルを支える形になります。
故に装着は簡単で気軽に扱えますが,安定性はフルカナルと比べ劣ります。


シェルそのものはさすが須山カスタムですばらしい出来ですね。
装着感も問題ありません。(実は1回削り直してもらっていますが)
須山カスタム独特の吸い付くような感覚はくせになりそうです(笑)


一番のお気に入りは表のプレートです。
写真ではフラッシュをたいてしまったのでよく見えないですが。。




ケーブル


元々はこういう直結された(=リケーブルできない)カスタム製品のために須山氏が用意されたのもらしいです。
UKはコルサン社のケーブルだそうで


このケーブルが実にすばらしい!
分岐以前・以降ともにしなやかで,かつ極めて強靱なものです。
分岐以降は非常に細く,マットな表面にまっています。


電気特性的にも優秀で現行須山カスタムのケーブルと比較して抵抗値はおよそ1/3になっているとのこと。
そのため低音がファットになる癖があるようです。


須山補聴器にある試聴機とハイの出方が違うのがどうしても気になっていたんですが,ケーブルが異なっているのが影響あるかもしれませんね。(試聴機は現行須山ケーブル)
もちろん試聴機はトリプルフランジなのでその影響は大きいでしょうが。。




肝心の音について


デフォルトで装着されている音響抵抗はグリーンなのですが,ハイの伸びに不満があったので今はブラウンをつけています。



もともとのコンセプトどおり低音がずいぶんでます。
とくにドラムのキックが素晴らしくそれに聞き惚れて購入を決意しました(笑)
とはいえシングルドライバなので超低音は出ません。


エッジの立った低音ではなく,暖かみのある柔らかなものです。
2XSの低音に近いような。。?




ミッドレンジは低音につられてやや膨らみがちです。
男声はとてもよく,リアルな声にとても近いですが,女性は曇り気味で苦手な様子。
もう少しクリアさが欲しいところです。


ボーカルでもややピーキーなところもあり,女声の混声は苦手な様子。
バリトン以下の混声は非常に聞き取りやすいので微妙なバランスのようですね。


ピアノではクリアさが足りないわりに音が割れそうになる部分もあったりとまだまだ調整の余地があるかなと。




111Lで一番苦労したハイですが,これは音響抵抗を変えることによって対処
標準のグリーンでは明らかに不満で,音響抵抗なしではミッドが割れる。となかなか難しく結局ブラウンで落ち着きました。

それでもハイハットは遠く,全体的に曇った(よく言えば暖かな)印象です。


とはいえ質は非常にいいです。UE10の高音を控えめに控えめにした印象でしょうか。


インピーダンスをあげることによって擬似的にハイをのばす方法もあるので色々遊べそうですね〜




機器との相性ですが,ドンシャリなプレイヤーやアンプをお勧めします。
私はB&OのBeoSound2を使用していますが,相性は抜群でUE10と組み合わせるよりも好印象です。
picoとは残念ながらあまり相性がよくないですね。


全体の印象としては非常に満足です。
音的には色々あれですが,その分自分でいじる余地があって楽しいですし,カジュアルに使えるのは便利です。
2台目・3台目のカスタムとしてはかなりお勧めします!